2008年08月22日

先日,関東信越国税局主催の「租税教育セミナー」に参加してきた。
このセミナーは,次代を担う児童・生徒に租税について正しく知ってもらうために,
主に学校の先生方を対象に行っている。
一般の参加もOKとのことなので,
長野県租税教育推進協議会の仕事をやらせていただいている関係もあり,
また,日頃ほとんど意識することのない税について考えるよい機会ではと思って足を運んだ。

しかし,
 ・昼下がり
 ・出版部を離れ
 ・日頃考え慣れない税の話を聞く。
という午睡の最適条件が整っていることに気がついて一抹の不安を拭い去れないでいたが,
セミナーが始まると思いのほか話に引き込まれ,あっという間の有意義な午後となった。


関東信越国税局長による「IT化と税」についての講演などもあったが,
県内の中学校の先生,高校の先生からの租税教育実践報告が特に興味深かった。

中学校の先生のお話では,
社会福祉や公共サービスに税が使われている,という税の役割についてと,
直接税・間接税などの租税体系,そして累進課税などに関わる税負担の公平性,
これらを学習して,生徒が将来に希望が持てるかどうか,
というところが大事なんだとおっしゃっていた。
「必要性はまあわかったけど,将来自分たちの負担は増すばかり…納税なんてしたくないよなー」
と,大半の生徒はこんなふうに思うかもしれない。
しかし,学習をそこで終わりにするのではなく,じゃあこれからどうしていったらよいか,
という租税の仕組みそのものを生徒たちに考えさせていく。
例えば,累進課税の方法が取られている直接税と,
所得にかかわりなく同額を納める間接税について,
今後どちらの割合を増やしていったらよいかと教室で議論をさせると,
「所得の多い人がそれに応じて税金を払った方が公平だ」という直接税推進派と,
「頑張って働いて多く給与をもらっても税金で多くとられてしまうのではやる気がでない」
という間接税推進派に,真っ二つに意見が分かれ,真剣な議論が展開されるのだそうだ。

租税教育といって,税について通り一遍知識を教え込むだけではなく,
「自分に大いに関係あることなんだ」と生徒に自覚させ考えられるようにすること。
自分たちが社会を担う中心となる前に,税について,経済について,
意識し考える機会を持つことはとても大切なことだと思った。



ちなみに。
いただいたたくさんの資料の中に,
担当して制作させていただいた『くらしと税金』(小学生向け副教材)と『租税教育だより』があり,
このようなところでも使われているんだなあとこっそり喜んでいたわたしです。
お近くの税務署に置いてあると思いますので,ぜひご一読を!

(17:18)