2007年12月07日

師走ですね。

12月のことをどうして「師走」と言うかは諸説あるようですが,
まず「しわす」を「師走」と書くのは当て字のようです。
一説には,年末にお坊さん(師)が方々でお経をあげるために駆けずりまわるので,
「師馳す」,転じて「師走」となったとか。
戦国時代に日本に来た西欧の宣教師たちは,
日本語のことを「悪魔の言語」と評して習得の難しさを嘆いたそうですが,
確かに「師走」を「しわす」と読まなければいけない日本語……特に漢字は難しいです。

「師走」の例を引くまでもなく,
漢字は,種類が膨大な上に,一字ごとに何通りもの意味や読み方をもち,
それが熟語をもなると,いわゆる重箱読みや完全な当て字もあったりして,
覚えても覚えてもきりがない……たぶんそのあたりが,
宣教師たちに「悪魔の言語」と言わしめたゆえんなのでしょうが,
一方で,そこが漢字の「おもしろ味」でもあるのでは,とも思うのです。

毎年,12月12日(=「いい字一字」で漢字の日だそうです)に
日本漢字能力検定協会から,「今年の漢字」というのが発表されていますね。
その年の世相を表わす漢字一字を公募して,一番多くの票を集めた漢字が
「今年の漢字」に決まるのです。
一年の世相を,たった一字の漢字が表わしている。
一年の間には色々な出来事があるように,何通りもの意味を持っているからこそ,
出来ることだと思います。
その字に良いイメージを持つ人もいれば,悪いイメージをもつ人もいて,
その両方の意見がたくさん寄せられて選ばれた一字を見ると,
何となく「味がある」感じがします。

画数・書き順や読み方のバリエーションを正確に覚えることがまず一番大事だけれど,
勉強しながら,願わくばその「おもしろ味」も感じてほしい……と思うのはちょっと贅沢でしょうか。
でも,私たち作り手としては,「漢字っておもしろい!」と思ってもらえるような
教材を作ることが目標です。



さてさて。
今年の「今年の漢字」が発表される頃には,もう師走も半ばです。
ちなみに,「師走」の語源にはもう一つ説があるそうで,
「一年の最後になすべきことをなし終える」という意味の「為果つ(しはつ)」から,
「師走」の字が当てられたんだとか。
やり残したことがないように,というのはなかなか難しいですが,
やるべきことをなるべく「為果つ」ことができように,
あと一ヶ月弱,頑張りたいと思います。

(16:55)