2014年02月

2014年02月28日

2月中旬,毎年恒例の松任谷由実SURF&SNOW in Naeba に行ってきた。
会場最寄りの越後湯沢までは,新幹線を乗り継いだり,信越線に乗ったり,
天気がよくて,かつ元気な時は車で行ったりいろいろだったが,
今年は飯山線と北越急行ほくほく線を乗り継いで行こうということになった。

信州中野出身の私にとっては,地元を通るJR線ということで,飯山線を身近に感じてはいたが,
ちゃんと乗ったことがないということに思い至ったからだ。
(何せ,終点は,てっきり飯山だと思っていた。)
それともう一つ。倍弱の時間がかかるが,新幹線の3割弱の金額で行けるのだ。
(長野-越後湯沢間往復が新幹線で15,760円のところ,なんと4,360円!)
急ぐ旅ではないし,お天気もよさそうということで,おやつを買い込み,
いざ! 越後湯沢へ。

各駅停車の列車に乗ると,やけに外国人が多い。それとリュックをしょったおじさん。
地元民と思える学生や年配の方はともかく,なんとなく車内が落ち着かない。
 三才 → 豊野 → 信濃浅野 → 立ヶ花
列車が千曲川に沿って走るあたりまで来て,その理由がわかった。

なんて美しい! 私のふるさとがこんなに美しかったなんて!

青空の中に真っ白な高社山。そのすそ野に広がる,やはり真っ白な雪に覆われた集落。
そして,とうとうと豊かに流れる千曲川。
車内をうろうろしていたのは,カメラ小僧ならぬカメラおじさんたちだった。
それぞれ思い思いの車窓に張り付いて,盛んにシャッターを切っている。
立ヶ花を過ぎて,上今井,替佐あたりまでは知っている地名だったけれど,
ハチス? 聞いたことのない地名だ。どんな字を書くんだろう。

ここまで来て,地図を持ってこなかったことを猛烈に後悔した。
ハチスってどのあたりなんだろう。
飯山の先,列車はどこを走って十日町まで行くんだろう。その先は…。
北信濃の生まれのはずなのに,頭の中に周辺の地図を描くことができないのだ。
黙って乗っていれば自然と目的地に連れて行ってもらえることがわかっていても,
移動の実感がない。自分が今,どこにいるのかわからない居心地の悪さ。

この日,地図の威力を大いに感じたように思う。
様々なできごとは,地図と結びつく(場所を把握する)ことで,より実態をもち,身近になる。

大勢乗っていた外国人は,みんな戸狩野沢温泉が目的地だった。
その後,さらにいろいろ楽しいこと,驚くことがあり,退屈することなく越後湯沢に無事到着。
(その間の話は長くなるので,またいつか。)

飯山線を選んで,本当によかった。今後は,いつも地図をかた手に出掛けようと思う。



    長野県内をゆくなら,小学生から大人まで
                 信州社研編集「地図-わたしたちの長野県」


(15:21)

2014年02月20日

私が編集した『ひろがる読書』が,2週間ほど前に印刷所より届きました。
この本には,小学1年生から中学3年生までの長野県読書感想文コンクール金賞受賞作品と,読書感想画コンクール入選作品が掲載されています。

初めての書籍の編集で,先輩にいろいろとご指導をいただきながら編集を進めていきました。ですから,正確に言うと「私が編集した」とは言えないのですが,自分が積極的に編集に携わった本が印刷所から届けば,やっぱりワクワクします。

自分たちが作りあげたものがカタチとして残るというのは,とてもうれしいことです。
できあがった本を手に取ったとき,編集の苦労も,児童・生徒の作品に込められた思いも,すべてがこの一冊に凝縮されているんだと思うと,たった1冊でもズッシリと重く感じられました。
書籍の編集は,責任も大きいですが,その分やりがいも大きい仕事だな,と感じました。


『ひろがる読書』に掲載された感想文は,金賞受賞作品というだけあって,どれも素晴らしいものです。

子どもならではの鋭い感性をもって書かれたもの。自分の経験と重ね合わせながら,豊かな想像力を発揮させて書かれたもの。読書の感想にとどまらず,それをきっかけにして将来に向けての強い決意が書かれたもの。

こういった感想文を読んでいると,ついつい自分もその本を読んでみたくなります。

ぜひ,県内の小中学生のみなさんには,読書体験をひろげるきっかけとして,『ひろがる読書』を読んでいただけたらな,と思います。
残念ながら一般向け販売は行っておりませんが,長野県内の小中学校の図書館や,県立長野図書館でご覧いただけます。
感想文がきっかけとなって,自分にとって最高の本に出会えるかもしれません。

(17:24)

2014年02月14日

先日,私の家の近所に住んでいる小学生の女の子が,
友達3人と一緒に「雪が積もっているから遊ぼう!」
と,誘ってくれたので公園で雪合戦をすることになりました。

ちなみに雪合戦の起源は戦国時代まで遡るそうで,
天文4年の初春,まだ大地が雪で覆われていた頃,
越後の雄長尾為景と上杉定憲が争った際,
矢が尽き、刀が折れても両者は戦いをやめず,
雪を固めて投げ合ったというのが,
現代の日本での最古の記録だそうです。

公園へ着くとすでに大量の雪玉があり,
話を聞くと自分たちの分は誘う前に準備していたとのことで,
私は4人から集中攻撃を受け,反撃するも
あっけなく負けたのでした…。

明日も太平洋側を中心に大雪が降るそうです。
皆さんもぜひ雪合戦をしてみてください。
やり始めるととっても楽しいですよ!!

(17:51)

2014年02月07日

イメージ 1

こちらのブログで何回かお伝えしてきました単行本,
『―ある信州教育の回想―伊那の勘太郎』が,ついに発刊となりました!
現在,信教出版ホームページでも「書籍」ページのトップで紹介していますので,
仕様等詳しくはそちらをご覧ください。

上の写真は先日,上伊那教育会館で販売をさせていただいたときの様子です。
自分が担当した本を,目の前で手に取ってもらい買ってもらうことは,
そのような機会はそれほど多くないのですが,何度見てもうれしい光景でした。

今回,一番苦労したのはカバーデザインでした。
どのようなデザインにしたらよいか,相当悩みました。
絵にするか写真にするか文字だけでいくか,
絵にするとしたら,写真にするとしたら,どんなものがいいのか。
読者を惹きつけ,どんな話かと想像を膨らませわくわくしてもらえるような,
それでいて本の内容やイメージにふさわしいものとは…。
著者の大槻先生にもご相談していましたが,先生も相当悩まれていたようでした。
およそのイメージについて何回か意見交換をしましたが,最終的には「お任せします」とのお言葉。
正直言って,「任されたぞ」という意気揚々とした気分ではなく,
「任されてしまった。どうしよう」という,
不安とプレッシャーに満ちた数か月間は苦しくもありました。
何かヒントはないかと,書店へ行き単行本や文庫本の表紙を眺めまわし,
長野県にゆかりのある画家さんの絵画展を観にいったりもしましたが,
なかなかよいアイデアが浮かんできませんでした。
そして,このままではカバーデザインが決まらないために発行が遅れてしまう,
というギリギリの時期に,現在のカバーの元となる写真に出会ったのです。

以前にも書きましたが,天竜川は,今回の作品で重要な役割を果たしています。
太平洋戦争末期に伊那・木窪小学校に疎開していた少年と,
それから約50年後に木窪小で過ごした少年。
現在は老人と青年になった二人が,
共に少年時代を過ごした木窪小での日々を語り合うことが物語の中心ですが,
それぞれの時代で二人の人生に深く関わり,また,二人を深く結びつけることになったのは,
50年の時を隔てても変わらずそこに流れ続けていた天竜川でした。

これぞこの物語の核なのではないか,この本の顔としてふさわしいのではないかという確信9割と,
でも大槻先生に気に入っていただけるだろうかという不安1割を抱えて,
デザイナーさんにお願いをしました。
できあがってきた案を大槻先生にお見せし,よいお返事をいただけたときには,
ほっとしすぎて泣きそうでした。

これまでも,単行本でも学習書でも,「生みの苦しみ」を感じることはたくさんありましたが,
今回,編集の仕事の根底である「かたちにする」ことの難しさを改めて学んだように思います。
作者と読者の間に立ち,作者の思いや作品の魅力をより効果的に読者に伝えられるものをつくること―
当たり前のことではありますが,これからも大事にしていきたいと思います。


『伊那の勘太郎』は,物語で読みやすく,中学生くらいから大人の方まで
幅広い年代の方に楽しんでいただけると思います。
木窪小は,総合学習を中核とした教育が全国的に有名な伊那小学校をモデルにしていますので,
実践事例などとはまた違った角度から,伊那小教育を感じられるのではないかとも思います。
ぜひ多くのみなさんに読んでいただきたい本です。

(14:48)