2015年07月27日

友人から子猫をもらってほしいと頼まれた。
とはいえ,家にはすでに15歳と5歳の2匹の猫がいて,
今までの経験から,新参猫を受け入れるのは,
猫にとってなかなかむずかしいということを実感している。

最初に猫を飼った時(すでに故猫),家人が昼間は出掛けてしまい,
いたいけな子猫1匹ではさびしかろうと,もう1匹,猫を飼うことにしたが…。
これが大失敗だった。
新参猫が横を通るたび,何をしたわけでもないのに,先住猫は「シャー!!!」と鬼のような顔で怒る。
そんなことが3か月ほど続き,
2匹の猫がだした結論は,相手を空気だと思う,ということのようだった。
微妙な距離感を保ち,寒い時だけ(たぶん毛布だと思い込んで)くっついて眠る。そんな感じ。

3匹目の猫は,大雨が続く中,
哀れな声で「ミャーミャー」鳴きながら家の周りをうろうろしていたのをかわいそうに思い,
3日かけて捕獲した。
この時は,先住猫が10歳と13歳という高齢猫(人間の年に換算すると54歳と68歳)だったので,
子猫の元気さについていけず,勝手にさせておくということで均衡が保たれているようだった。
また,その鳴き声がなんとも人間的で,人間も子猫に操られてしまった感があり,
みんなに甘やかされて,非常にわがままな猫になってしまった。
まさに我が家の女王様状態。そこへ4匹目の子猫が来ることになった。
女王様は,御年5歳。人間だと35歳。気力,体力ともに充実の年齢だ。
絶対,無理と断ろうと思っていたが,お宅が最後と頼み込まれ,もらうことになってしまった。

6月のおわり,小さな黒サビの女の子がやって来た。
ところがこの新参猫,弾丸のように空を駆け,ゴムマリのように弾み,からだを丸め毛を逆立てて
女王様に果敢に立ち向かっていく。
女王様も負けてはおらず,約3週間,騒々しい毎日が続き,これはダメだと思い始めたころ,
女王様の態度が変わった。

お気に入りのおもちゃを取られても,餌のお皿に顔を突っ込まれても,
前足をそろえ,目を細めて静かにたたずんでいる。
「えらいね」と声をかけると顔をあげて小さくため息をつく。
以前だったら,「チビなんだからちょっとはがまんしてあげなさいよ。」などと意見しようもんなら,
「ざけんじゃないわよ! なんで私ががまんしなくちゃいけないのよ!!!」
とばかりにうなられたのに。まことに聞き分けのよいやさしい猫になったのだ。
「あんたも猫ができてきたよね」と,毎日思いきりほめている。


猫と一緒にするな! とお怒りの声も聞こえてきそうだが,人の世界も似たようなものかな。
会社でもいろいろだ。人の異動があったり,担当の変更があったり。
新しい状況に思い切って身を投じ,もがいたとしても,
それが自身の成長,新しい世界を開くことにつながるかもしれない。
まさに「立場が人をつくる」だ。猫に負けてはいられない。

(18:57)