2014年06月13日

群馬県の富岡製糸場が今,日本中から注目を集めています。
去る4月に「富岡製糸場と絹産業遺産群」が世界文化遺産の登録勧告を受けたことは
多くの方がご存じだと思います。
今月まもなく開催される世界遺産委員会にて,登録の正式決定となる見込みだそうです。

さて,信教出版では,現代口語訳・信濃古典読み物叢書②『富岡日記』を発行していますが,
4月の登録勧告以来,問い合わせや注文が増えてきています。
信教出版ホームページの紹介には,
「長野市松代出身の和田英が,明治6年,15歳で群馬県富岡町の官営富岡製糸場に伝習工女として入場,
近代日本萌芽期を活写した回想記。」とあります。
私もそうでしたが,読み始めるとすぐに,
英さんの親しみやすくイキイキとした語り口調にひきこまれてしまう方が多いのではないでしょうか。
まさに「口語」,まさに「活写」。大変読みやすいです。
まだ年若く,松代からほとんど出たことのなかった英さんが,
初めて見聞きする事柄やさまざまな体験を,誠実に,そして喜怒哀楽豊かに伝えてくれます。
製糸場内での生糸生産にかかわる具体的な記述は歴史的資料としても重要で興味深いのですが,
失敗談なども書かれていて,英さんの飾らない人柄を垣間見ることもできます。
タイトルの「富岡日記」の他に,松代に戻り指導者としての日々を綴った「富岡後記(抄録)」,
英さんのお母さんの教えがわかりやすくまとめられた「我母之躾」も収載しています。

本の紹介ページはこちらです。→ http://www.shinkyo-pub.or.jp/book/8255.html
この機会にぜひご一読ください。


そういえば,上信越道の富岡IC付近だったかと思いますが,
「富岡製糸場を世界遺産に」と書かれた,
マユの形をした巨大なオブジェのようなものを目にしたことはあるでしょうか。
いつからあるのかわかりませんが,だいぶ前からあるように思います。
世界遺産登録が正式決定した暁には修正されるのだろうか…と,ひそかに気になっています。
「富岡製糸場と絹産業遺産群」がユネスコの世界遺産暫定一覧表に記載されたのが
平成19年だそうですが,地元ではもっとずっと前から運動,応援していたと思いますので,
この巨大マユを造った方々も感慨深いのでは…なんて思いをめぐらせてしまいます。
みなさんも上信越道の富岡付近を通るときは,巨大マユに注目してみてください!

(17:23)