2012年05月28日

 『鬼に訊け』は,法隆寺の昭和大修理,薬師寺の伽藍(がらん)復興に生涯を捧げた
 「宮大工」の故西岡常一さんのドキュメンタリー映画です。

 古より伝わる木の「いのち」を生かした建築様式にこだわった西岡さんは,
 「鉄」や「コンクリート」を使う現代建築を謳う学者さんたちとたびたび衝突することがあり,
 それゆえに「鬼」と呼ばれ畏れられていたということですが,
 西岡さんのもつ膨大な知識とそれを裏付ける技術や経験が,
 数値や様々な理論で示される根拠を凌駕するものがあったと映画から伺えました。

 また,西岡さんは,知識や経験を後世に伝えることにも積極的で,
 道具の使い方をはじめ,多くのことを弟子たちに余すことなく残していきました。

 建物を造るということは,これほどまでに奥が深いものかと驚きましたが,
 日本がもつ古来の伝統や文化のすごさについて改めて実感しました。

 「百聞は一見にしかず」興味のある方は,ぜひご覧ください。
 なお,弊社の道徳資料集『わたしの築くみちしるべ』(平成24年度改訂新版)の中学3年版にも
 「祖父の跡を継ぐ」という題で,西岡さんの資料が収録されています。
 こちらは,西岡さんの苦しい修行の頃の様子など宮大工になる「原点」が書かれています。
 映画と一緒に読んでいただければと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。

 
 ※『鬼に訊け』は,長野松竹相生座・ロキシー1・2にて上映中です。

(11:08)