2008年01月25日

どうやら,新しい学習指導要領にもりこまれる見通しの小学校英語。
先日まとめられた中央教育審議会の答申によると,
小学生ならではの柔軟性をいかして,「積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度」を
育成したい,とのこと。
そんな資料を読んでいたら,先日東京から帰省してきた友人に,こんな話を聞いたのを思い出しました。


駅で新幹線の切符を買おうと,券売機の前で並んでいると,
後ろから英語で声をかけられたそうです。
大きな荷物を持った,観光客っぽい男の人で,
新幹線の特急券と乗車券を示して,しきりに何か尋ねてくるのです。
突然の英語にあせりながら(友人は英語が苦手),それでも話を聞いてみると,


「電車に乗るのに何で切符が2枚必要なんだ?
 しかも,どうしてこっち(乗車券)は新宿からで,
 こっち(特急券)は上野からになってるんだ?
 同じ電車に乗るのに,どうして乗車駅の名前が違うんだ?」


というようなニュアンスのことを言っているらしいのです。
どうやら,特急券と乗車券の違いがよくわからないらしいのですね。
男性の言っていることはどうにかわかったものの,
正直,あらためて聞かれたら日本語でだって説明するのが難しい内容,
ましてや英語でなんてとても無理……と,パニックに陥った友人は,
少し離れたところにいた駅員さんを指差して,

「Over there! Station staff!」
(あそこの駅員さんに聞いてください……と言いたかったらしい)

とだけ言って,逃げてきてしまったらしいです。


この話を聞いたときは笑っていたのですが,
私だったらどうしただろうか……と考えると笑えなくなります。
笑えないどころか,非常に身につまされる思いです。
友人も言っていましたが,話そうとするより先に,
英語というだけで腰が引けてしまうようなところが,私自身にもあるようです。
まさに「積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度」とは真逆の私……


もし,小学校のうちから英語に慣れ親しんでいたら,
私もちゃんと話せるようになっていたんだろうか。
発音とか文法以前の,もっと気持ちの問題で。
「積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度」を身につけることができたのだろうか……

友人の話を思い出しながら,そんなことをいろいろと考えました。

まだまだ未知数の小学校英語……答えは出ません。
これからどんなものになるのか,どうなっていくのか,
そして信教出版部としてはどんなことができるのか,考えていきたいと思います。

(20:31)