2007年08月24日

毎年信州では,8月13日が「迎え盆」,16日が「送り盆」ということになっている。

私も幼少の頃は,毎年お盆で親戚のうちに集まるのが楽しみで,お墓参りなどお盆にまつわる
一連の行事には喜んで参加していたが,今年は私の嫁の実家が新盆だったため,
自分の父親の実家のお盆行事には参加せず,嫁の実家で迎え盆も送り盆も過ごした。
そこで目にしたお盆の風景は,それまで父の実家で行っていたお盆とは若干違いがあり,
小さな驚きがあった。

私の嫁の実家は,私の生まれ育ったN市から西へ15Kmほど離れたI町(旧M村)なのだが,
そこではお盆のお墓参りの際に,自分の家のお墓だけではなく,
その周りにあるほかの家のお墓にも線香を1本ずつ供え,合掌し,人によってはお菓子や
果物なども供えてくれるという。
また夕方になると,新盆ということもあってか,ご近所の方々も見え,仏壇に手を合わせてくださった。
よその家のご先祖にも手を合わせ,自分のご先祖同様に慰めと敬いの気持ちをもつということは,
とてもよい風習だと感じた。


夏休みも終わり,そんな話をいつもお世話になっている印刷会社で,営業担当S氏と,Sさんと私の
3人でしていたら,地域によってお盆のやり方がずいぶんと違うことがわかった。

まず,私の父の実家(県北部のN市)では,迎え盆のときは,お墓の前で「カンバ」と呼ばれる
シラカバの木の皮を乾燥させたものを燃やし,お墓に供えたろうそくに火をつけ,
その火をちょうちんに移して「お盆ござれ,お盆ござれ…」と唱えながら家まで帰り,
再び家の前でカンバを燃やす。

なんでも,カンバを燃やした煙に乗ってご先祖の霊が家に帰ってくるとか,
この煙を目指して霊がやってくるとか言われており,ちょうちんの明かりもご先祖の霊を
家まで案内するために必要なものだそうだ。

よって,子どもがお墓からの帰り道に,ふざけていてちょうちんの火を消してしまったりすると
父親やおじいちゃんに「こらあ! ご先祖さまが迷ってしまうじゃないか!」と叱責される。
また,きゅうりやなすに割り箸で足をつけ,とうもろこしのひげで尻尾をつけて,
馬と牛を作ったりもする。それに乗って先祖の霊がこの世とあの世を行き来するとも言われる。

しかし,長野県東部のU市出身のSさん宅では,お盆に燃やすのはカンバではなく「わら」であり,
ご先祖の霊をお墓から連れ帰ってくるときは,家族で霊を「おぶってくる」そうで,
お墓で人をおぶる(背負う)動作をして,家に帰ってきてからはそれを降ろす動作をすることにより,
ご先祖の霊が家に帰ってきたことになるそうである。

また,私の嫁の実家と同じI町(旧S村)在住の営業S氏は,お盆にお墓で燃やすのは「豆がら」で,
「お盆だよ~,きなっせ~や~」(うろ覚えで間違っていたらスミマセン)というような歌を
家族で歌いながらご先祖の霊をお迎えするという。
ちなみに私の嫁の実家ではカンバを燃やし,「お盆ござれ」と唱える。

同じ長野県内でも,ちょっと場所が変わればやり方もずいぶん違うものだと,
3人とも驚きを新たにしたひとときであった。


このように,地方ごとに昔から伝わるさまざまなお盆の風習があるわけだが,
祖先を慰め敬う気持ちはみな同じ。地域に古くから残るこういった風習は,ひとつの文化であり,
財産と言っても過言ではないかもしれない。

時代は変化し,どんどん新しいものが登場していっても,こういうものは大切にしていかなくては
いけないと思った。


TY

(17:18)