2007年03月22日

「ねえ,かねちょろとカナヘビってちがうの?」

飯水教育会自然調査研究委員会が毎年発行されている,『千曲川』第40集。
巻頭を飾る「タヌキの成長」のほのぼのとかわいいカラー写真のあと,
シリーズ「ブラボー地球の動物たち⑩」ニホンカナヘビ のページを開いたときに
思わずでた一言だ。

小学校時代,校庭の石垣の間,畑の土手,いろんな場所で見た,
あのミニチュアの恐竜のような生き物は,私にとっては全部「かねちょろ」だった。
「カナヘビ」というのは,近ごろ知った名前だ。
ことばの感じから,「カナヘビ」のほうがどうも高級な感じがして,
多分,「カナヘビ」のことを方言で「かねちょろ」って言うんだろう,
となんとなく思っていた。

喧々諤々の議論が巻き起こり,おおよそ,「かねちょろ」=方言説が優勢となったが,
一人どうしても譲らない元少女がいる。いわく,
「子どものころ,さんざんかねちょろを捕まえた。
 かねちょろは,すばしっこくって瑠璃色でとってもきれいだったけど,
 カナヘビは,ゆっくりで赤黒くて汚かったから目もくれなかった。
 あれは,絶対ちがう生き物だ。」
と言うのである。
体験に裏付けられたことばはとても強力でみんな黙ってしまった。
と,さっきから黙々とネットを操っていた一人が,
「ちがうみたいです。ニホントカゲっていうのとカナヘビっていうのがいるらしいです。」

改めて,『千曲川』の文章を読んでみる。何だ,ちゃんと書いてあるじゃないか。
「かねちょろ」「かなちょろ」「トカゲ」などと呼ばれている,
「ニホントカゲ」「ニホンカナヘビ」は,形も性質も性格もちがう生き物。
「トカゲ」は子どものころ,背中からしっぽにかけて虹色に光っている。すばしっこい。
「カナヘビ」はおとなしい。(詳しいことは『千曲川』でどうぞ。)

双方「かねちょろ」と呼ばれていても,元少女が言うように,
「かねちょろ」(トカゲ)と「カナヘビ」は,確かにちがう生き物だった。
知っているようでいて本当は知らないことのなんと多いことか。
また,子どものころのさまざまな体験が,いかに大切であるか。

しかし,この議論,本当におもしろかった。
今年は春が早い。春の野に出て「かねちょろ」を捕まえてみたくなった。
そして,得意そうに言うのである。

「ねえ,このかねちょろ,トカゲかカナヘビかわかる?」 なんて。

(17:09)