2018年01月

2018年01月30日

 現在,私は長野県読書感想文コンクールの金賞作品集『ひろがる読書』の校正を行っています。それを受けて,今回は,最近私が読書をしていて気づいたことを話したいと思います。
 以前このブログで,自分は小説を書くのが好きだと書いたことがありました。それで次に書こうとしている話を考えていて,
「こういう内容なら…舞台は江戸時代の農村かな……でも何も知識がないな」
 ということで,図書館に資料を探しにいきました。しかし,そういう本は読んで楽しいというものではないので,すぐに嫌になってしまい,読み進められません。
「まいったなぁ…でも,様子がわからないと書けないぞ」
 この時点で,そもそも自分は江戸時代の農村の何を知りたいのかすらわかっていません。
 それでもなんとか頑張って,すごく時間をかけて無理やり一冊読み切りました。そして,次は子ども向けの民話を読み,また資料を探して読みました。
 四冊目の関連書籍を読み終えたあたりで,ふと気づいたことがありました。
「あれ……なんか,あんまり嫌にならずに読めるようになってきた」
 頭が,そのジャンルの話題に慣れてきたのでしょうか。
「あれ,この本のこの内容,ほかの本でも述べられていた気がする。重要なことなのかな」
 そして次に調べたいことがわかってきました。
 流れはこんな感じです。
 最初に頑張って読んだ本というのが,お百姓さんたちの水資源抗争についての本でした。
「新田開発についてすごく言及している……じゃあ,時代は具体的に,江戸時代の新田開発がさかんに行われていた頃にしよう」
→江戸の農村について調べよう→新田開発について調べよう→当時の農業のことも調べないと→農民の暮らしを調べないと→主人公は子どもだから,農民の子どもの暮らしを調べないと……。
 なんとなく,本を探すときのキーワードが浮かんでくるようになり,必要な資料も見つけやすくなりました。「頭が慣れてくる」と書きましたが,頭の中で知識がつながってきて飲み込みやすくなるのかもしれません。それが自分にとっては驚きだったので,新しい発見をしたなどと一人で喜んでいた今日この頃でした。

 さて,最初に述べた『ひろがる読書』も校了日が迫り,平成30年度版の夏休み帳・冬休み帳に関する作業にも追われています。今朝のニュースでインフルエンザが猛威をふるっていると報じられていたので,健康に気をつけて乗り切りたいと思います。

(14:02)

2018年01月22日

2018年になりました。今年は戌(いぬ)年ですね。最近の猫ブームに押されがちな愛犬家にとっては、犬が主役の素敵な1年となりそうです。

犬といえば、人間と比較して成長が早いことが知られています。具体的には人間の約7倍の早さで成長していくということですから、逆にいえば、人間は犬の7分の1の速度でしか成長しないということになります。
犬の成長が早いのか、それとも人間の成長が遅いのかはわかりませんが、人間の成長で面白いところは、身体の成長速度は誰でもほぼ同じなのに、中身の成長速度は人それぞれ大きく異なることだと思います。育ってきた環境などの違いだと思いますが、年下なのに自分以上にしっかりした人に出会うと、いつも「立派だなー」と感心しています。では、自分の成長速度はどうなのだろうかと考えてみると、そもそも成長したような実感がほとんどないことに気付きました。

成長しない人というのは、変化をしない人と言い換えられると思います。毎日全く同じことを同じように繰り返しているだけの生活を送っていたら、成長は望めないように感じるからです。私は変化するのは面倒だし嫌だなと思う性格なので、それが原因で成長していないと感じるのかもしれません。
「戌(いぬ)年」の「戌」には、「成長を終えた草木が枯れる状態」という意味があるようです。「枯れる」というと終わりを連想しますが、新しい世代に生命を繋いでいくための準備であるともいえます。
戌年の今年は、私も変化を恐れず、これからどんな新しいことができるのかを考えてみたいなと思います。


変化といえば、教育業界では、ここ1〜2年でデジタル教科書やプログラミング教育などの教育のICT化が叫ばれ、新しい変化の波が押し寄せてきています。このICT関連の技術は、とにかく革新のスピードが早いと言われます。通常7年で変化するできごとが1年で起こることから、この変化のスピードを犬の成長の早さに例えて、「ドッグイヤー(dog year)」と呼ぶこともあるそうです。
それだけ変化が早いICT関連の技術が教育に導入されたら、未来の教育はどのようになっていくのでしょうか。現在当たり前に行われている紙と黒板を使った授業が、数年後は通用しなくなるかもしれません。
そうなれば、教材出版をしている私たちにも、大きな変化の波が押し寄せるでしょう。
こちらもまた、これから私たちに何ができるのかを考えていかなければなりません。

変わるのに勇気が必要な私にとっては、少し大変そうな時代がやってきます。

しかし、変化が早いということは、それだけ流行り廃りが早く、一時のトレンドに左右されがちということでもあります。「ドッグイヤー」な時代の変化を乗り切るには、その中から本質を見抜く犬のような鋭い嗅覚もまた、必要なのだと思います。

(14:24)