2017年12月

2017年12月29日

今年は特に忙しく,気がつくとクリスマスが終わりもうすぐお正月という流れに乗っていました。

先日,社会科の教材の校正をしているとき,
表記の揺れがないかを各社の教科書を見ながらチェックをすると
「ルーズベルト大統領」の表記で違いを見つけました。
おかしいなと思って調べてみると,最近は,現地の読みに近づけて
ローズベルト(高校の教科書は,ローズヴェルトの表記もある)大統領と表記するようになってきているということがわかりました。
他にも「リンカーン」は「リンカン」と変わっており,
いずれもルーズベルト大統領,リンカーンと学習してきた私自身にとっては大きな衝撃で,
今後は気をつけて校正をしなければならないと改めて思いました。

昨今,さまざまなできごとや法律の改正などの目まぐるしい変化によって,
教科書や教材の編集も言葉ひとつをとってもよくよく吟味しなければなりません。
平成32年度の新学習指導要領の施行に向けて教科書,教材の制作を進めていますが,
常にアンテナを高くもち最新の情報に沿って取り組んでいけるようにしたいと思います。


今年も残すところわずかになりましたが,みなさまよいお年をお迎えください。

(11:25)

2017年12月22日

ご存知のとおり,来年度(30年度)からは,小学校道徳において教科書の使用が開始されます。
今までは道徳教材といえば,各出版社で発行していた道徳資料集が主なものだったのですが,
今後は教科書が使用されることにより,資料集の出番がどうなるのか心配しています。

しかし,新学習指導要領には「教科書のほかに地域独自の郷土教材も並行して扱うことが重要」
とありますし,弊社発行の小学校道徳資料集『わたしたちの道』は,30年近くにわたって
長野県の先生方が,子どもたちのことを考えながら一生懸命つくってきた教材で,
これは長野県の先生方にとっても,子どもたちにとっても大きな財産であると考えます。

そこで,弊社では,今後教科書が使用されるようになってもこの資料集をご活用いただくために,
「道徳教科書との併用資料」を作成しました。
すでにしんきょうネットを通じて,長野県内各小学校に配布されていますので,ぜひご覧ください。

この「併用資料」では,より多様性に富んだ道徳教育を行っていただくため,
教科書で扱う内容項目に対応した『わたしたちの道』掲載の資料を厳選して提示してあります。
道徳教科書に載っている全国的に有名な資料や名作を扱うことも大切かとは思いますが,
『わたしたちの道』にある郷土資料も併せて扱うことにより,子どもたちの
「伝統と文化の尊重,国や郷土を愛する態度」をはじめとした,さまざまな道徳的価値観を
より大きく育てることができるのではないでしょうか。

今後ともぜひ『わたしたちの道』をご購入いただき,併用資料と併せてご活用ください。

TY

(16:28)

2017年12月15日

先月,信濃教育会の全県研究大会に参加させていただいた。初めて参加したため,授業研究のシステムがわからなかったが,周りの先生に聞きながら体験させていただいた。私が参加した中学校理科の授業者の課題は,「生徒が自ら課題をもって意欲的に取り組むにはどうすればよいか。」というものだった。

中1理科の「身のまわりの物質」という単元で,「プラスチックって何?」という生徒たちの素朴な疑問から始まった追究活動。今回の授業は,自分たちで実験をしてプラスチックの性質を調べる活動だった。生徒たちはあらかじめ実験方法などを自分たちで考えて計画を立て,当日は家から持ち寄った様々なプラスチックを使って実験に取り組んでいた。

学習指導要領や研修会で得た知識から思い浮かぶ型どおりの授業に比べると,目の前で繰り広げられている子どもたち主体の授業は,理科の観点からいろいろと足りない部分が見えてくる。何か釈然としないものを感じつつ,その後の指導者の話を聞いた。

「教師が教材研究をするときは,昔はまずその素材をいろいろといじって調べてみたし,今はまずインターネットで検索して調べてみる。そうしていろいろ調べていく中で自分のやってみたいことは何なのかが見えてくる。これと同じことは子どもたちにも言える。教師が教材研究するのと同じ手順で子どもたちが授業展開していく。こういう授業にすると,その後子どもたちは意欲的に取り組むようになるのです。」

目から鱗だった。

そういえば先日,学校を舞台にした某ドラマの中で,アクティブラーニングを取り入れた授業の場面を見た。教科や授業スタイルは違うが,生徒たちはそれまでの受身で詰め込み式のつまらない授業からアクティブラーニングを取り入れた生徒主体の授業に変わると,目を輝かせて自ら考えるようになっていく。もちろんドラマだから象徴的に作ってあると思うが,今回の全県研究大会の授業と共通するものを感じた。

また,アクティブラーニングでは先生の役割も変わるという記事を読んだことがあった。先生自身は課題解決の活動に主体的に参加するのではなく,中立的な立場から生徒たちの発言を引き出したり活性化を促したりする。予測のつかない発言や突発的な状況への対応,その場その場の判断や行動が求められると。まさに今回の全県研究大会の授業者の立場と同じだ。

ふりかえると,今までにもいろいろな場面で長野県の先生の活動や考え方に触れる機会があったが,その根底にはいつも子ども主体の活動を大切にする姿があった。これがもしかしたらアクティブラーニングなのかもしれない,ずっとアクティブラーニングだったのかもしれないと,今さらながら気づかされた,貴重な体験だった。

(N)

(09:50)

2017年12月08日

牛山榮世先生をご存知ですか。
長野県内の小学校の教諭を経たのち,新設された長野市三本柳小教頭,下諏訪南小校長,
その後,信州大学附属松本中学校の副校長を務められ,
退職後は,信濃教育会教育研究所の副所長として,研究所研修員の先生方をはじめ,
後進の先生方への指導にあたられていらっしゃいましたが,
平成23年12月19日に現職のまま,お亡くなりになりました。
68歳になられて数日のことでした。

信教出版では,このたび,牛山榮世先生の『学びのゆくえ』を復刊することになりました。
生活科の担当であった私は,時折『学びのゆくえ』という書籍の名を耳にしました。
牛山先生の『学びのゆくえ』。実際に手に取ることもなくきてしまいましたが,
先生がお亡くなりになって何年もたち,現場の先生から「本は出さないの」と問われ,
牛山先生と深いつながりのあった先生方にご相談する中で,
すでに絶版になって久しく,読みたくても,薦めたくても手にはいらない
『学びのゆくえ』の復刊が決まりました。

大切な蔵書をお借りして,初めて『学びのゆくえ』を読みました。
「序―世界の内と外」 
衝撃でした。思わず手に汗握り,読み進めるうちに涙が滲んできました。
そして「ああ,これが先生方が話していた『学びのゆくえ』なのだ」と胸に落ちたのです。
今までに『学びのゆくえ』を読まれた方々が受け取ったものはそれぞれだと思いますが,
私が一番感じたのは,情熱でした。

先生がお亡くなりになって今年は七回忌にあたります。
『信濃教育』に随時連載した「教育の窓を開く」全25編,
そして牛山先生の一番近くにいらした佐智惠夫人の文章も同時収載して
『学びのゆくえ ―実践者 牛山榮世の軌跡―』,12月19日発行予定です。

(17:10)