2017年09月

2017年09月29日

先日,「小学校の新学習指導要領に対応した新教材説明会」に出席しました。

ご存知のように,今現在,小学5,6年生で行われている外国語(英語)活動は,
来年度からは3,4年生に下りてきて,5,6年生では教科としての外国語(英語)が始まります。
文部科学省では,来年度からの移行措置と前倒し実施に対応した外国語活動・外国語の新教材を
制作中ですが,5,6年生版がほぼできあがったとのことで,説明会が行われました。

この新教材に関しては,以前から文科省ホームページや,新学習指導要領の説明会で
制作中の誌面を目にしていましたので,ある程度は中味について知っていたつもりでしたが,
あらためてすべてのページを見て,「これはなかなかすごいぞ」と思いました。

小学校外国語では,全体的に「書く」活動については,子どもの発達に応じた
ゆるやかな設定がなされているのですが,「話す」「聞く」に関しては,
5年生でHe,Sheといった三人称を用いた会話の設定があったり,
6年生では過去形を用いて会話をする単元が出てきたりします。

これらは,現課程では中学校の内容ですが,実は中学生でもなかなか理解するのが難しく,
先生も教えるのに苦労する部分だといいます。
小学生でも三人称や過去形を使って会話が行えるように配慮がされているという
文科省の説明はわかるのですが,実際の授業では先生も児童も少なからず苦労をすると思います。

例えば,三人称では,動詞に-sをつけなくてもいいように,
助動詞canを使った表現が新教材で紹介されていますが,canを使わない表現を
子どもが言いたくなったときにはどうでしょうか。
結局,文法的なことに踏み込まざるを得ない状況が生じ,よくわからないまま過ぎてしまう,
あるいはそこから英語が嫌いになってしまう子どもが出てくるかもしれません。

今回,文科省の説明の中で,最も印象深かったのは,
「小学校外国語は,今までにないまったく新しい教科であり,中学校外国語の前倒しではない」
ということです。
新しい教科は,最初は苦労がともなうと思います。
今後も動向を注視しつつ,いつかは小学校外国語で,先生方や児童のみなさんの
お役に立てるものを作りたい,と気持ちを新たにしました。

TY

(16:34)

2017年09月19日

私は弊社の「小学校理科テスト」を担当しております。
先日,使っていただいている学校のS先生からご意見をうかがうために,
その学校を訪問しました。

S先生は,私が平成17年度版の理科教科書を担当していたときに,
理科教科書の編集を担当されており,一緒に仕事をさせていただいたのですが,
それ以来お会いしていなかったせいか,以前の元気で若々しい印象に比べ,
とても落ち着いた雰囲気になっておられたので,びっくりしました。

おうかがいしたところ,昨年定年を迎え,今年は再任用で理科を教えていらっしゃるそうです。
その学校は各学年2クラスなのですが,3~6年全8クラスの理科を教えておられるとのこと。
案内していただいた理科準備室の壁に貼ってあった一週間の時間割を見ますと,
月曜日から金曜日まで,ほぼ全ての授業時間にクラス名がびっしり書かれていて,
これまたびっくりしました。

弊社の理科テストは,信濃教育会編理科教科書「楽しい理科」の完全準拠版であり,
教科書の学習内容が身に付いているかを標準的な問題で確認できるように作ってあります。
S先生は実際の授業の様子を交えながら丁寧に教えてくださったので,
学校でこの教材がどのように使われているのか,イメージをつかむことができました。
実際に使っていただくと,子どもたちの反応は様々で,
理科テストの編集委員や私どもにも気づかない点が結構あることがわかりました。

現在,新しい学習指導要領の説明会等に参加しながら,
2020年度からはどのような内容をどのように教えていくのか,情報を吸収しつつ,
どのような教材をつくればよいのか模索しているところですが,
先日の学校訪問では,説明会とは違う意味で貴重なお話が聞けて,とてもいい刺激になりました。
2020年度からの新しい理科テストはどのような方針で作ったらよいか,
紙面のデザインにはどのようなことに気をつければよいかなど,
大変多くの示唆をいただいたと思っております。

今後も,使っていただいている先生のご意見をおうかがいしながら,
より良いものにしていきたいと思いますので,
どうぞよろしくお願いいたします。

(N)

(10:41)

2017年09月01日

先々週のNHK大河「おんな城主 直虎」,ご覧になりましたか。
表向きは逆臣のふりをしながら,実は,直虎と深く心を通わせていた
井伊家筆頭家老の小野政次の最後がえがかれた,予想だにしない圧巻の回でした。
ご覧になっていない方には何のことやらさっぱり…であると思います。
高橋一生演じる小野政次が,もう誠に素敵だったということはありますが,
今日のテーマはそういうことではありません。

小野政次が,実は忠義の臣であった(ドラマ上は)ということを思うとき,
思い出したのは,「樅の木は残った」の原田甲斐のことでした。
両親が見ている大河ドラマを一緒に見ていただけなので,
さして記憶が残っているわけではありませんが,
江戸時代前期に起きた伊達騒動の首謀者で,従来は逆臣といわれていた原田甲斐が
実は,幕府のお家取り潰しから仙台藩を守るべく尽力した忠義の人であったとのPRが
当時,盛んに行われていたなあと…。

日本書紀から始まって,
歴史は,時に当時の為政者に都合のよい形で書かれているのではないかともいわれています。
何より,当の本人たちに言い分を聞くことができないわけですから,
“事実は闇の中”ということは確かにあるのでしょう。
切り口を変えれば,人は様々な顔を見せるのだと思います。
だから,いろいろな書籍やドラマができるのでしょう。


小野政次が,それほどの人であったかはともかくとして,
たぶん,いいところもダメなところもある,そんな人だったのだと思います。
新しい小野政次像に,当の政次はどんな顔をしているでしょう。

人には様々な顔がある,だから苦手な人にも
「見つけてみよう あなたのよいとこ」のスタンスで接していくのが肝要だと思います。
“愛すべき…”のない人など,一人もいないはずです。

(17:22)