2012年11月

2012年11月29日

先週末,山奥の温泉へ出かけた時のこと。

ずいぶん山の中なので,明るいうちに到着したいと思っていたが,
道草をくっているうちに,暗くなってしまった。
天気が悪く,いつの間にか暗い夜道にやわやわと霧が這いはじめ,
道草を後悔しながら,曲がりくねった山道をのろのろと運転していると,
何かが道を横切ろうとした。
ネコ? いや,もっと大きい。タヌキ? いや,違う。 
キツネだ!
車を止めると,立ち止まった。
とんだ災難に慌てふためいて走り去ると思いきや,
まっすぐにこちらを見つめ,何と近寄ってきたのだ。
えっ,うそ!

…たぶん,餌をあげた人たちがいるのだ。
人間からもらったものはきっと美味だったのだろう。ドアのところで待っている。
あげられるものを持っていなかったし,もし持っていたとしても,
してはいけないことだと思いながら,車を発進させた。
すらりとした,美しい目のキツネだった。

弊社,新信濃写真風土記の中に『本土狐』という巻がある。
ヤマネの写真で有名な西村豊氏の写真集で,とてもきれいな本だ。
信州に生息するホンドギツネ(アカギツネの亜種,北海道のキタキツネより小型)の四季を
淡々と丹念に追った写真と,
宮尾嶽雄氏の「ホンドギツネの博物誌」という文章で構成されている。
身近な野生動物,キツネについて,見て,読むには最適な1冊だと思う。

さて,翌朝,温泉からの帰り道。
今度は大きなネズミのような何かをくわえたキツネが車の前を走り去って行った。
それを見て,この道の周辺にいったいほどの命が存在しているのだろうと思った。
“野に山に,命が満ちていた時代,日本人の心眼は,森羅万象のすべてに神を見ていた。”
「ホンドギツネの博物誌」の中の一節だ。
しばらく走れば,そこはいつもの人間の世界なのだが,
一瞬,人ではない,たくさんの目に見つめられているような気がした。


 新信濃写真風土記『本土狐』
     詳しくは,こちらへ http://www.shinkyo-pub.or.jp/book/8241.html

(15:05)

2012年11月22日

私が入社してから,8か月がたとうとしています。
入社した頃よりは,だいぶ仕事にも慣れ始め,一人でできる仕事も増えてきました。
最近の仕事では,25年度前期分の教科書の注文がきたので,
その発送準備を教えてもらっています。

内容は,各取次書店さんの荷受所宛の送り状を書いたり,
教科書の冊数の内訳を作ったりすることです。

今は送り状を書き終えたところですが,
数が膨大だったため,少し時間がかかってしまいました。
残りの作業は早めに終わらせたいと思います。


12月になると,今度は年末調整手続きなどがあり,
さらに忙しくなると聞きました。
年末調整手続きは,初めて行う内容なので,うまくできるか心配ですが,
一つずつ正確に仕事を進めていきたいと思います。

(17:19)

2012年11月16日

近刊書を紹介します。

牛越 充 著『足もとの生涯学習―自分磨きの心の旅路―』

元信濃教育会会長の牛越充先生ですが,みなさんご存じのとおりご活躍は多岐にわたっており,
長野県内はもちろん全国の教育界発展のために,長い間ご尽力されてきた先生です。
現在は,「長野県生涯学習インストラクターの会」会長を務めていらっしゃいます。

本書では,牛越先生の小中学校勤務時代や生涯学習グループでの活動をはじめとした
豊富な人生経験の中で出会った多くの方々やできごとを,
具体的で興味深いエピソードとともに紹介しています。
そしてその出会いを通じて得た先生ご自身の学びを綴っています。
また,現代の子らや学校現場,現代社会における課題,
生涯学習の果たしうる役割等についての鋭い指摘や問題意識には,
長年教育現場に携わり,さらに,学校と地域,学社融合という視点で活動され続けてきた
牛越先生ならではの見解と説得力があります。


制作にあたり,担当者として何度か打ち合わせをさせていただきました。
これまでの様々なご活躍を頭に思い浮かべながら,スラリとした長身の先生に向き合いますと,
「たいへんな大先生とお話している」という気分が高まり,ついつい緊張してしまっていた私ですが,
実際には,大先生であることにはもちろん変わりはありませんが,
非常に謙虚で腰が低く,細やかな心配りをしてくださる温かい先生でした。
このような方であるからこそ,本書にあるような多くの素晴らしい出会いが生まれ,
そこから常に何かを学んで「自分磨き」をすることができるのだなと感じました。

「生涯学習」と聞くと何か難しいことのような気がしてしまいますが,そんなことはありません。
なんとなく日々過ごしてしまっていると反省している方は多いと思います(私も含め)。
しかし,足もとに,日常生活の中に,学び成長していける種がたくさんあると,
本書では教えてくれます。


牛越 充 著『足もとの生涯学習―自分磨きの心の旅路―』
B6判/並製/208ページ/1,050円(税込)
信教出版ホームページでも近日中に詳細をお知らせします。ご期待ください!

(19:30)

2012年11月09日

11月になり,朝晩の冷え込みが一段と厳しくなってきました。
季節の変わり目,皆様,風邪にはくれぐれも気を付けてください。

最近は,59集『信濃子ども詩集』の編集作業でバタバタと過ごしています。
先週,ようやく表紙のデザインが終わりデータを印刷所に出稿できたのですが,
今度は,本文の厚いゲラが印刷所から入れ替わるように戻ってきました。
「ホッ」と一息つく間がなく,絶えず忙しい波が押し寄せてきます。
しかし,入選したおよそ1000人の子どもたちの作品から元気とパワーをもらっているため,
大変な仕事なのですがやりがいを感じて一生懸命頑張ることができます。

今月の下旬には,本文を校了にする予定で進めていますので,
編集作業もラストスパートをかけて,少しでも早く皆様のお手元にお届けできるようにします。
発行まで今しばらくお待ちください。

※59集『信濃子ども詩集』は,予約限定出版になっております。お求めの方は,
 11月16日(金)までにしんきょうネットまでお問い合わせくださいますようお願いいたします。

(20:31)

2012年11月02日

先日,教科書協会主催で毎年行われている教科書編集者を対象とした
研修会に参加してきました。
今回のテーマは第一部が「特別支援教育とユニバーサルデザイン」,
第二部が「デジタルデータと著作権」でした。

第一部の研修では,そもそも特別支援教育とは何かというところから始まり,
最近言われるようになった「インクルーシブ教育システム」について,
また授業や教科書・教材におけるユニバーサルデザインについて説明がありました。

特別支援教育は,以前は「特殊教育」と呼ばれていましたが,
平成19年から呼び方が変わり,中味も従来の特殊教育の対象となる障害に対応
するだけでなく, LD ,ADHD,高機能自閉症への対応もしていくことになったそうです。

特別支援教育を行うことが,該当児童生徒のいじめ被害や不登校を未然に防ぎ,
該当児童生徒だけでなくすべての子どもの「確かな学力の向上」「豊かな心の成長」に
つながるので,教育全体になくてはならないものであるという位置づけを明確にした
という点が印象的でした。


第二部の研修では,最近各教科書会社で発行されているデジタル教科書における
著作権をどのように考えていくか,というお話を弁護士の先生からお聞きしました。

ご存知のように,教科書制作においては,たくさんの写真を写真家やフォトライブラリーから
借りたり,あるいは絵をイラストレーターの方に発注してかいてもらったりするわけですが,
従来の紙の教科書でもなかなか難しい著作権処理の問題を,デジタル教科書の場合は
どのように考えていくべきかという点で大変興味深い内容でした。

研修の中で,現在実際に販売されているデジタル教科書のデモンストレーションを見て,
それについて著作権的に重要なことを講師の先生が解説するという場面があったのですが,
ある社の社会のデジタル教科書で,教科書誌面の全体を見せる画面であれば
写真をデジタル教科書に載せてもいいけれど,拡大表示は不可といわれてしまった写真が
あったそうで,拡大表示の際にはその写真があるところだけブランクになってしまう
というものがあり,各社本当に苦労しながらデジタル教科書を作っているのだなと思いました。

著作権については,個別の案件を処理する際にどのようにしていいか悩むことが
多いですし,特別支援教育についても実感をともなって理解することはなかなか
簡単にはいきませんが,このような研修会の機会をいかして,それぞれについて今後より
理解を深め日々の仕事に活かしていきたいと思います。


TY

(14:10)