2010年02月

2010年02月26日

少しずつ日中の気温が上がってきて,
確実に春が近づいていることを感じる今日このごろである。

学校や職場では,卒業や転勤に向けて準備に追われ,
4月からは新天地で新生活という方もいらっしゃるだろう。
そういう人にとっては,いまが節目の時期である。

文部科学省の学習指導要領にとっても今年は節目の年である。
平成23年度から新しい学習指導要領が実施されるわけだが,
いま,これに基づく新しい教科書をつくっているところである。

また,教科書に基づいた学習教材も移行措置版から新版へと新しくなり,
我々教育関係の出版業界にとって,いま,まさに節目にさしかかっている。

今年の日曜夜8時の大河ドラマ「龍馬伝」では,
幕末から明治時代への節目の時代に活躍した人々が描かれている。

正直言うと,今まで坂本龍馬や明治維新などにはあまり興味がなかった。
自分にとっては,単に歴史の教科書に出てくる一項目にすぎなかった。
ところが,たまたま「龍馬伝」の第1回目を見てから結構「はまって」しまい,
久しぶりに大河ドラマを毎回欠かさず見ている。

書店に行っても特設コーナーが設けられていて,
坂本龍馬や明治維新関連のありとあらゆる本が積まれている。

それらのドラマや本に描かれている幕末~明治維新で活躍した多くの人たちの,
様々な形のエネルギーがぶつかり合ったり共鳴し合ったりして時代を動かしていく様子に
魅了されている。

新しい教科書をつくるにあたって,その当時の人々の熱い思いを想像しながら,
その姿を自分に重ね合わせたのは私だけであろうか。

さて,平成23年度からの新しい教科書がどのようなものになるか,
ぜひ楽しみにしていただきたいと思う。

(N)

(18:52)

2010年02月12日

小学生のとき,伊藤先生という理科専科の先生がいらっしゃった。
伊藤先生は担任の先生ではなかったが,私の不思議に何度も答えてくださった。

志賀高原で見つけた薄紫の花。
ちぢれた花びらがフリルのように美しくはかなげで,名前を知りたいと思い図鑑を見たがわからず,
スケッチした絵を持って思い切って伊藤先生にたずねたのが最初だったと思う。
伊藤先生は,“マツムシソウ”という名であること,草花に興味をもったことをほめ,
これからもスケッチを続けましょうと書いたメモをくださった。
その後,ザゼンソウやら“ヘンなもの”に出合うたびに先生のところに持っていったように思う。

小学校5,6年ぐらいのとき,お祭りにカルメ焼きの店がきたことがあった。
家が商店街にあったので,近所にいろんな出店が軒を連ねていたが,
おじいさんが小さなフライパンにザラメと水を入れ,割り箸でかき混ぜると,
見る見るうちにプーとふくれ,香ばしいカルメ焼きができる様子にいたく興味をもった私は,
その出店に何度も通い,飽きずにそれを見ていたものだ。
そのうち自分でもそれをやってみたくなり,石油ストーブの上におもちゃのフライパンをのせ,
砂糖と水を入れ,割り箸でぐるぐるかき混ぜたがまったくふくれず,
とうとう砂糖水は黒焦げになり,母に随分怒られた。
学校でその話をすると,
伊藤先生は割り箸の先に何かついていたんじゃないかなとおっしゃってニコニコしていたけど,
伊藤先生が転勤されたか,私が卒業したのか,カルメ焼きの話はそれっきりになってしまった。   
だけど,こんなやり取りをとおしてか,いつの間にか,理科はちょっと好きな教科になっていた。

その後,伊藤先生にお会いすることはなかったが,
先日,信濃教育会の理科教科書に関する古い資料を読んでいたら,
まさに私が小学生だったころの信教理科教科書の編集委員に伊藤先生のお名前を見つけた。
出版部では,平成23年度教科書の制作がようやく一段落したが,
委員の先生方は指導書の執筆で相変わらずお忙しい毎日が続いている。
小学生のころ,あたりまえといえばあたりまえだけど,
伊藤先生を見ていて,そんなことは考えたこともなかった。
でも,こうやって信教教科書は歴史をつむいできたのだと,
古い名簿の先生の名前を見ながら思った。
来年度,指導書の原稿が入稿したら今度は出版部が大車輪である。
先生方の熱意まで形にしたいと思う。

(15:31)