2007年09月

2007年09月28日

今月19日に,教科書協会拡大教科書委員会に出席してきた。

皆様は,「拡大教科書」というものをご存知だろうか。
これは,視覚障害児のために特別に作られた教科書であるが,
単に紙面を拡大しただけの教科書ではないのである!
一言で視覚障害といっても様々なタイプがあり,
見える程度や見え方は一人ひとりみな違うのである。
個々の障害の程度に合わせて,文字はどんな書体・級数・ウェイトにすれば見えるか,
写真やイラストはどのくらいの大きさにして,色はどうすればよいか,
どのようなレイアウトにすれば見やすいか等を,児童と相談しながら決めるのである。
いわばオーダーメイドの教科書である。
仕様が決まっても,その通りの本を作るのが大変な作業になる。
現在,拡大教科書を作っているのは,ほとんどがボランティア団体の方々である。
供給用の教科書をコピーしたり,切り貼りしたりして作るわけであるが,
実際にこれを作られる方々のご苦労には計り知れないものがある。

そこで,拡大教科書を作る方々の負担を減らすために,
教科書発行社としてどのような協力ができるかを話し合うのが
この拡大教科書委員会の目的である。
心情的には,すべての視覚障害児のために,ほかの健常児と同様
きれいに印刷された拡大教科書を年度当初に提供したいと思う。
だが,そのためにはまず,経費的な面や設備的な面の
様々な環境を整備しなければならない。

もっと広く世の中の人々に拡大教科書のことを知っていただき,
官民そろって拡大教科書制作に取り組む機運が生まれることを願っている。
(N)

(20:39)

2007年09月21日

英語が苦手である。
早くも中学1年の2学期からの苦手意識は,今に至るまでまったく変わらない。
高校生だったある日,担任の先生に職員室に呼び出され,
「どうして,英語がだめなんだ。」と言われ,思わず
「アルファベットが嫌いなんです。」と答えたところ,
「バケ(化学)は得意だと聞いたぞ。」と言われ,答えに窮した。

とにかく,英語が話せるということだけで,だれでも尊敬してしまう。
そんな私でも,今までにほんの数回ではあるが,英語で外国人と話したことがある。
成人式の振袖の代わりに行ったヨーロッパ旅行。
スペイン行きのプロペラ機の中で隣のおじさんに英語で話しかけられた。
「どこから来たの。」
「日本。英語は少ししか話せない。」
生まれて初めて外国人に話しかけられ,あせって予防線を張ったつもりだったが,
その人はニコニコしながら自分の腕時計を指差し,
“It's CITIZEN!”と言うので,うれしくなって,
“My Watch is SEIKO!”と言ってしまった。
そこから会話は始まったのだが,
急に英語が話せるようになるわけもなく,片言と手振り身振りの会話で,
果たして私の言ったことがちゃんと伝わっているのか,
相手の言っていることを正しく理解しているのかも定かではなかったけれど,
とっても楽しかったという記憶だけは鮮明に残っている。
以来,ずっと「真面目に勉強しておくんだった。」と後悔しながら,
今に至っているわけである。

中教審の審議も大詰めを迎え,
近ごろは何かしらそれに関わる記事が頻繁に目に触れるようになった。
小学校高学年での英語の必修化は,ほぼ確実のようだ。
不得意な英語のことを考えるとき,
小さいころから馴染んでいればよかった,なんて思うことはよくあるが,
本当はどうなのだろうか。

まるで,教育が政治に振り回されているような大きなうねりの中で,
先生方は今,何を思っていますか。
出版部には何ができるのか,何をすべきか,私も考えている。

(20:57)

2007年09月14日

もうすぐお彼岸です。
雨が降るたびに残暑が遠のいて,朝夕が肌寒くなってきました。
秋が来たな,という感じがします。

読書の秋,ということで,郷土に伝わる民話や伝説に触れてみるのはいかがでしょうか。
信教出版部からも,こんな本が出ています。

お子さんと一緒に読むのなら,『信濃の民話シリーズ』はいかがでしょう。
私たちの先祖が語り継いできた,楽しく,悲しく,美しい物語が満載です。
フリガナつきの,読みやすく素朴な文体は,
まるで,おじいさんやおばあさんのお話を聞いているような気分にしてくれます。
今年もたくさんの小学校で使っていただいた信教の『夏休み帳』にも,
このシリーズの中からいくつかの物語を掲載していますが,
他のお話もぜひ,オススメです。

気軽に古典に親しむなら,『信濃古典読み物叢書』シリーズがオススメです。
「木曽義仲物語」,「一茶物語」,「善光寺縁起」,
今話題の川中島の合戦をあつかった「武田信玄と信濃」など,
信濃ゆかりの古典を,わかりやすい現代語訳の文章で,気軽にお楽しみいただけます。


自分の町に,こんな物語があったのか。
あの川や山の名前には,こんな由来があったのか。
そういったことを知れば,毎日見ている景色にも,違った発見ができるかも。



『信濃の民話シリーズ』
 編集 信州児童文学会
 全13巻 各800円

『現代口語訳 信濃古典読み物叢書』
 監修 滝沢貞夫
 編集 信州大学教育学部附属長野中学校
 全16巻 各1000円


ご注文は(株)しんきょうネットで承っております。
http://www.shinkyo-net.co.jp/

品切れの巻もありますので,お問合せください。

(14:08)

2007年09月07日

文化庁などの主催で全国7箇所で実施されている「著作権セミナー」,
先週山梨県で開催され,出版部から若人3名(単純に下から3人という意味です…)
が参加させていただいた。

著作権の保護は,100年以上も前から国際的に行われているものであるが,
昨今の急速な「情報化」の動きにより,多方面で注目を集めている。
デジカメやパソコン,インターネットなどの普及により,
かつては「一部業界の一部のプロ」だけが持っていた
著作物などの「創作手段」「利用手段」が爆発的に普及し,
「一億総クリエーター」「一億総ユーザー」という時代になりつつあるとのこと。
国では,すべての人々が著作権について必要な知識を持てるように,
簡単に利用できるシステム作り,ルール作りを進めているそうである。

講義を受けてみると,「著作権」といっても,
例えば「著作者人格権」「実演家人格権」「著作隣接権」というような
さまざまな権利によって構成されており,
また,さまざまな条件や契約内容によって,
どのように保護されるのかされないのか変わってくる,ということがわかった。
今回基本的事項を学び,問題意識を高めることができたように思う。
編集の仕事をするわたしたちは,著作権とは常に関わりあう関係である。
適切な対応がとれるよう,勉強を重ねながら仕事に取り組みたいと思う。



余談ですが。
会場が甲府駅から車で30分ほどの笛吹市内で,午前10時開講,
というスケジュールであったため,長野市外に住むわたしは,
高校文化祭準備のとき以来の始発電車に乗り,一日がかりの出張であった。
若人2人と合流してからの往路復路は,山梨談義などしながら
ときには風林火山饅頭(?)を食べ,楽しく時間が過ぎていったのだが,
帰り1人になって電車で座ったとたん,フッと意識が遠のいていった。
そして数十分後…
目を覚ますと,電車はわたしの降りるべき駅のホームをゆっくりと離れ
加速していくところであった。
終点で駅員さんに揺り起こされるという最悪の事態こそ回避したが,
腫れ気味のまぶたで乗り越し金を精算するわたしは,
どう見ても寝過ごし客の風貌であったと思われる。
長い一日であった…。

(13:35)