2022年01月14日

 長野県下の子どもたちの詩を集めた作品集,第68集『信濃子ども詩集』が発行されました。今回も,日々の喜びや悲しみを素直に心からうったえる子どもたちの声が,この詩集から聴こえてきます。
 コロナ禍による休校や,リモートに関する作品を見て思うのは,やはり『信濃子ども詩集』は,子どもたちの目で時代を反映しているものなのだということです。以前このブログに,昭和36年に伊那谷を襲った集中豪雨・通称「三六災害」のことを書いた際,当時発行された本書を見てみたら,災害と向き合ったと思われる子どもの詩がありました。こんなふうに,これから先,第67集や第68集をふと開いたら,「ああ,この時代はコロナ禍で大変だったな。大人だけでなく,子どもたちも大変だったんだな。」と思い返すときがくると思います。
 一方で,時代を経ても変わらないものもあります。私が生まれた年(三十年以上前)に発行された本書と,第68集を読み比べてみました。時代は違えど,どちらも自然への驚嘆,小さな生き物への慈しみ,家族との日々,学校での頑張り,環境問題,戦争や平和への思いが,ありのままの瑞々しい感性で綴られています。
 子どもたちの作品をいつか読み返し,「こんな時代もあった」と感じるのも大事かもしれません。
 
 第68集『しなの子ども詩集 1・2・3年版』
    『信濃子ども詩集 4・5・6年 中学版』
 在庫僅少です。ご注文はしんきょうネットまで。



(12:36)

2021年12月24日

日本語ワープロソフト「一太郎」の新バージョンが発表されたというニュースがありました。

一太郎とは,40年以上の歴史をもつワープロソフトです。今となっては「Word」が主流となってしまいましたが,根強いファンが多く,特に法曹界や学校などで,使う方が多いと聞きます。

一太郎は,日本語を扱うのに優れているのが特長の一つです。それが端的に表れているのが,縦書き文書を作成する場合の扱いです。

Wordの場合,文書のスクロールは(横書き文書と同じく)上下方向で,ページが縦に並びます。この場合,1ページ目の最終行と,2ページ目の1行目が離れてしまいます。一方で一太郎の場合,縦書きに設定すると,文書のスクロールが左右方向に変わり,ページが横に並びます。

縦書きの文書を作るときは,一太郎のスクロール方向の方が自然でしょう。これは一例ですが,その他の部分でも,至る所で,Wordは縦書きの扱いが劣っていると感じます。


日本語は,もともと縦書き文化です。ひらがなの形を見れば,それは明らかです。縦書きで書かれるかな書道の文字は,川のようになめらかに流れる連綿の美しさが感じられます。たとえ線でつながっていなくとも,書のことばでいうところの「意連」(点画と点画の間にある意識のつながり)がそこにはあります。

これが横書きになると,一文字一文字が独立して表されるようになります。すると,文字の美しさがほんの少しだけ,損なわれてしまうような気がします。縦書きにあった川のような流れが分断されてしまうからです。

言うまでもなく,Wordは,グローバル展開されるソフトです。WordにはWordのよさがありますが,やはり日本の文化を理解し,縦書きにもこだわりをもつ日本の一太郎を,個人的には応援したいなと思っています。


ところで最近は,縦書きの日本語に触れる機会がだいぶ少なくなってしまいました。

今となっては,新聞,手紙,書籍くらいのものでしょうか。新聞や手紙は,少なくとも若い世代にとっては身近なものではなくなってきましたし,書籍でさえ,横書きのものも増えてきました。

そしてこのブログも横書きです。というより,PCやスマホのディスプレイ越しに見るものは,ほぼ全てが横書きです。PCやスマホは,英語圏から広まっていったものですから,英語圏発祥の文化が色濃く反映され,横書きが中心となってしまうのは致し方ないでしょう。

グローバル化が進む現代社会では,もはや横書きの方が合理的です。少しさみしいですが,日本の縦書き文化は,時が流れるにつれて廃れていってしまうのかもしれません。

ただ,非効率で合理的ではなくても,残り続けているものはたくさんあります。今は改めてレコードのよさが見直され,昭和時代の歌謡曲が逆に新しいとして,若い世代に支持される時代です。個人的には,縦書き文化が薄れていくことはあっても,縦書きを愛する人はこれからも存在し続け,完全に消えることはないだろうと思っています。

どちらにせよ,文化は変化していくものです。歌謡曲でいうなら,「川の流れのように」美しい縦書き文化の成り行きを,「時の流れに身をまかせ」,これからも見守り続けたいです。


さて,弊社では,小学校向けに連絡帳を発行しています。

低学年向けのものは,横書きに加えて,縦書きのものもラインナップしています。学校で縦書きの黒板をお使いの場合に,便利にお使いいただけます。

中学年・高学年向けの日記つき連絡帳は,令和2年度版より日記部分の罫線を見直し,原稿用紙のように縦書きでも記入することが可能となりました。

それ以外にも,使用時期に応じてページ数が異なるものをご用意したり,発達段階に応じて記入欄の幅や使用漢字を変えたりなどして,様々な種類から最適なものをお選びいただけるようになっています。

信教出版の連絡帳を,ぜひご採用ください。


(09:09)

2021年11月22日

学生時代は,小説などの文学作品にまったく興味がなく,
よく親や兄弟に本を読めと言われていました。
社会人になっても本を読むことが身につかず,
入社して3年目ぐらいまでは,
相変わらずテレビゲームや漫画を読む日常を送っていたことを記憶しています。
しかし,社歴を重ね,さまざまな書籍や教材の仕事をしながら
キャリアを積むことで,次第にもっと読み手に伝わる文章のあり方を考えるようになりました。
そのためには,どうしてもある程度の長くまとまった文章を
たくさん読んで訓練する必要があり,
とにかく何でもよいので本を読むことを始めました。

現在は,ほぼ毎日本を読むことが習慣になり,
また自分の好きな作家もできて,
本を読むことはこんなにも楽しいものなのかと
実感できるようになりました。
また,同時に教材や書籍の校正をする際も,
今までなんとなく読んでいた文章も違和感をもつようになり,
修正等の赤字の入れ方に変化が出てきました。

読み手に伝わる文章に仕上げることは,
とても難しいことだと思います。
しかし,本を読み,よい文章に触れることを通して,
少しずつですが読み手を意識した文章に仕上げる
技術を身につけることにつながっていると思います。

これからも本を読むことを大切にしながら,多くの知識を吸収し,
日々の業務に反映できるように努めていきたいと思います。



(20:05)