2007年03月30日

年度末。
いろいろなところでお別れの季節である。
今年度で信濃教育会を退任される先生方がご挨拶にこられた。
皆それぞれ,校長先生を勤められた後,
信濃教育会で活躍されたわけである。
ひときわ感慨深いものと思われる。

中でも教科書編集部におられたM先生には,本当に一方ならぬお世話になった。
一番は何よりも17年度版理科教科書の検定対応のときである。
検定意見がついたところを短い期間で修正して,文部科学省へ提出しなければならないので,
夜遅くまで委員会を開いて,対応を検討していただいた。
文部科学省へ提出する修正表を作るときも,信教の講堂をお借りして,
皆と一緒に夜遅くまで作業をしていただいた。
また,教科書制作のさまざまな局面で,本当に助けられたと思う。
今でも,信教の理科教科書になくてはならない人物であると思っている。
非常にさびしい思いである。

しかし,さすが先生。
四月からも別のところでお仕事が控えておられるようで,
スケジュールがつまっているとのこと。
ご活躍をお祈りいたします。

他の退任される先生方にも直接,間接にいろいろとお世話になりました。
この場をお借りして,感謝申し上げます。
ありがとうございました。

(15:25)

2007年03月22日

「ねえ,かねちょろとカナヘビってちがうの?」

飯水教育会自然調査研究委員会が毎年発行されている,『千曲川』第40集。
巻頭を飾る「タヌキの成長」のほのぼのとかわいいカラー写真のあと,
シリーズ「ブラボー地球の動物たち⑩」ニホンカナヘビ のページを開いたときに
思わずでた一言だ。

小学校時代,校庭の石垣の間,畑の土手,いろんな場所で見た,
あのミニチュアの恐竜のような生き物は,私にとっては全部「かねちょろ」だった。
「カナヘビ」というのは,近ごろ知った名前だ。
ことばの感じから,「カナヘビ」のほうがどうも高級な感じがして,
多分,「カナヘビ」のことを方言で「かねちょろ」って言うんだろう,
となんとなく思っていた。

喧々諤々の議論が巻き起こり,おおよそ,「かねちょろ」=方言説が優勢となったが,
一人どうしても譲らない元少女がいる。いわく,
「子どものころ,さんざんかねちょろを捕まえた。
 かねちょろは,すばしっこくって瑠璃色でとってもきれいだったけど,
 カナヘビは,ゆっくりで赤黒くて汚かったから目もくれなかった。
 あれは,絶対ちがう生き物だ。」
と言うのである。
体験に裏付けられたことばはとても強力でみんな黙ってしまった。
と,さっきから黙々とネットを操っていた一人が,
「ちがうみたいです。ニホントカゲっていうのとカナヘビっていうのがいるらしいです。」

改めて,『千曲川』の文章を読んでみる。何だ,ちゃんと書いてあるじゃないか。
「かねちょろ」「かなちょろ」「トカゲ」などと呼ばれている,
「ニホントカゲ」「ニホンカナヘビ」は,形も性質も性格もちがう生き物。
「トカゲ」は子どものころ,背中からしっぽにかけて虹色に光っている。すばしっこい。
「カナヘビ」はおとなしい。(詳しいことは『千曲川』でどうぞ。)

双方「かねちょろ」と呼ばれていても,元少女が言うように,
「かねちょろ」(トカゲ)と「カナヘビ」は,確かにちがう生き物だった。
知っているようでいて本当は知らないことのなんと多いことか。
また,子どものころのさまざまな体験が,いかに大切であるか。

しかし,この議論,本当におもしろかった。
今年は春が早い。春の野に出て「かねちょろ」を捕まえてみたくなった。
そして,得意そうに言うのである。

「ねえ,このかねちょろ,トカゲかカナヘビかわかる?」 なんて。

(17:09)

2007年03月09日

この『信教出版部の編集日記』。
私は今まで3回書かせてもらいましたが,
一度もまともに仕事について書いていない気がするので(今更…),今回は仕事の話です。

はじめて,単行本の編集を担当することになりました。
著者の方から原稿をいただいて,それをどんな本にしようか一から考え,
作りあげていくのです。
もちろん,はじめての不安もありますが,正直,わくわくしています。
不安とわくわくが,3対7くらいです。
といっても,余裕なわけでは全然なくて,
困難や苦労を知らない分,不安も小さいだけだと思うのですが。
それでも,レイアウトを考え,表紙の色を考え,
それが形になって,1冊の本になるのだと思うと,今からすごく楽しみです。

自分の本でもない私でさえ,こんなに楽しみなのですから,
著者の方はその何倍も,何十倍も,
出来上がる本に対して,期待と愛情をもっていることでしょう。
これは責任重大です。
わくわくばかりもしていられません。

著者の方にとっては大事な大事な1冊です。
満足していただけるような,
そしてたくさん売れるような(笑)1冊になるように,
精一杯頑張りたいと思います。

5月末に刊行予定です。
これからも機会があれば,
この『編集日記』上で進行の様子をご報告できればと思っています。

                                HKでした。

(17:05)