2022年12月08日

 色づいていた木々の葉も散り,いよいよ本格的な冬の訪れを感じます。さて,本年度も長野県の子どもたちのすぐれた詩を掲載した『信濃子ども詩集』が発行となりました。身近な自然への驚嘆や慈しみ,学校で頑張ったことや,先生,友だちとの日々,家族との日常,自分の内面や世界に目を向けて考えたことなどを,ありのままにうたった詩がたくさん掲載されています。
 69年の歩みを振り返ると,『信濃子ども詩集』は,その時代を子どもの目で切り取った記録集ともいえるのではないでしょうか。当時の社会の出来事や背景,そこから影響を受けた考え方やものの見方,そして学校,家庭の在り様が,子どもの目を通し素直な言葉で綴られています。今回の69集にも,リモート学習の日々の後でようやくクラスメイトに会えた喜びや,ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻について感じたことなど,時代を映した光景がまっすぐな言葉で綴られています。

 当詩集は来年いよいよ70集という大きな節目を迎えます。今回応募してくださった先生方はもちろん,まだ応募したことのない先生も,ぜひ69集を手に取っていただき,来年は子どもたちの作品を応募してみようと思っていただけたら幸いです。


第69集『しなの子ども詩集』小1・2・3年版
第69集『信濃子ども詩集』小4・5・6年 中学版
在庫僅少です。ご注文はしんきょうネットまで。
http://www.shinkyo-net.co.jp/



(11:54)

2022年10月14日

前回の更新からだいぶ時間がたってしまい,
気が付くと辺りはすっかり秋らしくなり,葉っぱも赤や黄色に色づき始めています。
ここ数年,夏以降の季節の移り変わりが読めず,
特に秋の短さにはびっくりしており,冬の訪れが早いと感じています。
そのため,ストーブやこたつなどを慌てて準備する始末で,
いつも後手に回っていましたが,今年は,そうならないように,
10月の3連休中にエアコンを掃除したり,押し入れからストーブを引っ張り出したり,こたつに厚い布団を掛けたりとドタバタしていました。

最近,仕事や趣味などさまざまなことにおいて,
「続ける」とは何だろうと考えることがあります。
この変化が大きい世の中で,
一つのことをずっと続けるというのはとても難しいことであり,
場合によっては,続けたいけど諦めなければならないときもあると思います。
また,続けるということが,いつの間にか義務や目的となり,
結果として自分の思考が硬直し,大きなチャンスを伴う変化に乗り遅れる原因になるかもしれません。
しかし,どんなことであっても日々の積み重ねが大切で,
その時々に得られる経験や知恵は,やはり続けている者にしかわからないことがあると思います。

様々な業界において,「この道〇年」という言葉を聞きますが,
やはり1つのことを長く続ける人を見たり聞いたりすると,
すごいと思うし憧れの気持ちをもちます。
この世の中,変わっていくことが当たり前で,
それに対応するために,今まで続けていたことを一旦リセットして
新しいことへ移り変わっていくことも大事なことだと思います。
しかし,何か一本筋の通った誇れるものを見つけ,続けていきたいと思いました。


(15:36)

2022年06月03日

 ブログの当番が回ってきたのは4月でしたが,早いもので5月が過ぎ,もう6月です。

 実は,私にとって一年中でいちばん「やる気」が出ないのが5月頃なのです。寒かった冬から暖かい春を迎え夏に向けて少し暑くなってきたころに花粉症が重なると,「やる気」が出なくなってしまいます。これは,新入社員や転勤したサラリーマンなど,環境が大きく変わった人に現れる五月病に似たものなのではないでしょうか。気候の変化も社会環境の変化も体にとっては同じ変化なのですから。
 また,いまのコロナ禍では制限が多く,行きたいところも密を避けるために控えてしまったりして,それが「やる気」の出ない原因にもなっている気がします。最近,感染者数が減ってきて,マスク制限を緩和してもいいのではないかという議論も出てきましたが,まだ気を緩められません。

 学生時代を振り返ると,「やる気」が起きずレポートに取りかかるのが遅くなり,締切りに間に合わなかったことがありましたが,ある研究によると,やるべきことになかなか取りかかれないのは,人間に「気分良く過ごしたい」という欲求があり,やらなければならないことのための焦りや緊張のような不快感を避けたいという無意識の働きが備わっているからだそうです。
 先送りして一時的にこの不快感を回避しても,いずれやらなければならないため,先送りしたことを後悔したり,自分はできない人間だと責めてしまったりします。このネガティブな思考もまた「やる気」をなくす要因となってしまいます。
 この負のスパイラルを断ち切るためには,完璧を目指さず「とにかくやる」という意識をもってとりかかることが大事です。一度やり始めれば気が楽になり,下手でもいいから「とにかくやる」習慣がついてきます。また,やるべきことをやらされると考えるのではなく,それをやることで自分の経験や知識が増え,自分にとってプラスになると考えれば,取りかかるときの不快感も気にならなくなります。「ピンチはチャンス」のように,日常的にプラス思考をすることで「やる気」が出やすくなるのではないでしょうか。

 また,「やる気」という言葉は,「進んで物事を成し遂げようとする気持ち」を表し,行動するときの動機にかかわりますが,私たちは「やる気」とほぼ同じ意味で「モチベーション」という言葉を使います。「モチベーション」は心理学の研究対象にもなっていて,最近の研究で注目を集めているのは「習慣」だそうです。
 私たちは毎日,朝起きて朝食を食べ,歯を磨き,身支度を整え会社に行くというように,決まった行動を「習慣」として行っていますが,この「習慣」にも「やる気」が関係しています。
 あるノーベル賞学者が提唱した「思考の二重プロセス」という理論によると,人間の思考には意識されずに素早く働くシステム(これを「システムA」とする)と意識下で緻密に慎重に働くシステム(「システムB」とする)があり,必要に応じた役割分担があります。
 システムAには直感や印象,経験則などが含まれ,限られた情報を基に概ね適切な判断を行いますが,システムBには,たまに間違えることのあるシステムAをチェックして修正する役割があります。人間の情報処理能力には限界があり,日常生活のすべての行動について緻密に考えると労力がかかりすぎるため,このような仕組みが備わっているようです。
 このシステムAには,物事を関連付けてその中にあるパターンを習慣化しようとする働きがあるそうです。新しい担当の仕事を始めるときの自分を振り返ってみると,初めて取りかかるときは考えながら慎重に取り組みますが,繰り返し同じ仕事をしているうちにだんだんスムーズにできるようになります。思考のシステムの中で無意識に習慣化しているわけです。
 ところが,ストレスや疲れなど様々な要因からシステムAが正常に働かなくなると,「やる気」が出ないという状態になってしまい,思考のシステムが正常に機能しなくなり取りかかれなくなるのです。人間の思考と「やる気」は密接に関係しているわけです。

 ところで,長野には「ずく」という方言があります。「惜しまず精を出して働く気力」とか「根気」「やる気」などの意味で使われ,怠けることを「ずくなし」と咎めたり,こまめによく動く人を「あの人はずくがある」などと褒めたりします。
 実は,ずっと前から物置の中を片付けなければならないと思っていたのに,「ずく」が出なくてそのまま放置していました。ところが先日,車のタイヤがパンクして,取り換えるタイヤを物置から出そうとしたときに,物置の中が片付いていなかったためタイヤを出すのに苦労しました。このとき,このことがきっかけでなぜか「ずく」が出て,タイヤ交換をした後に物置の片付けもできました。やらなければならないことがきっかけになって「ずく」が出たわけです。

と,書いているうちに,自分は何が言いたいのかよくわからなくなってしまいました。もしかしたら,なかなかブログを書く気になれなかった(「やる気」が出なかった)言い訳をしようとしていたのかもしれません。悪しからず,ご容赦ください。


(N)


(16:50)